【登山】2017年に登った中・上級者向け高難易度ルート紹介します
登山を始めて5年。ずっと関東(栃木・群馬たまに埼玉)の山ばかり登っていましたが、そろそろステップアップしたい!
・・・ということで、今年は北アルプスをはじめとした、難易度が高いと言われるルートに挑戦しました。そんな、中・上級者向けの「登りごたえのある」ルートをまとめて紹介します。普通のルートを登るだけじゃもう満足できない!そんな人向けの山々です。登った時の達成感は格別です。
尚、ここで紹介するルートは、毎年遭難者が出ているような危険なルートも含まれています。山のグレーディング(各県が出している登山難易度指標)も併せて紹介しますので、くれぐれも自分の技量にあったルートを選択してください。
ちなみに、グレーディングとは、要求される体力と技術力の組み合わせで評価されます。要求体力は1~10で表記し、10に近づくほど、体力的にキツく、移動時間が長いルートになります。要求技術力は英字A~Eと表記し、難易度でEが最高難度です。詳細は山のグレーディング公式サイトをご参照ください。
【関連リンク】
栃木県/栃木県 山のグレーディング(栃木県山岳遭難防止対策協議会)
紹介するのはこのルートです!
紹介文にアニオタ的な(ヤマノススメ的なw)視点が入ってることがありますがあまり気にしないでください。
古賀志山(中尾根ルート)
栃木県のグレーディング2B(中尾根ルートはさらに難しい)
標高:582m
以前より岩場の練習場として使っていたのが宇都宮市にある古賀志山でした。標高は600mもありませんが登山ルートにはたくさんの岩場があります。マイナーな低山ですが、非常に登りごたえがあり、簡単な山で満足できなくなった人にオススメです。
※半時計周りに周回しました。
見どころ:岩場・鎖場
古賀志山には多彩なルートがありますが、中尾根コースは難易度が高め。岩場・鎖場を経験したことが無いと、かなり面食らうはず。
見どころ:「猪落」
猪落(ししおとし)と呼ばれる場所からの展望は素晴らしいの一言。今回はこの場所を通らなかったのですが、猪落から下るルートもオススメ。
【関連リンク】
宇都宮市のサイトに古賀志山紹介ページですが、中尾根コースは危険な箇所が多いからか、紹介はされていません。掲載マップの「北コース」のさらに北にある点線のルートが今回紹介した中尾根コースになります。
古賀志山の保全を行っているNPO法人のサイト。古賀志山の案内図は今回紹介した中尾根ルート以外のルートが網羅されており、とても参考になります。
槍ヶ岳
信州 山のグレーディング8C
標高:3180m (日本第5位)
ルート参考URL:登山ルート: 槍ヶ岳(上高地) [信州 山のグレーディング] - ヤマレコ
登山者あこがれの槍ヶ岳。一番簡単な槍沢からのルートを使えば、比較的容易に槍ヶ岳頂上付近にある槍ヶ岳山荘までたどり着くことができます。しかし、山頂へ至る「槍の穂先」へのルートは危険な鎖場をいくつか通過するためそれなりの技量が要求されます。また、高度からくる恐怖心の克服、3000m級の空気の薄さへの慣れが必要となります。槍の穂先の麓にある山小屋で一泊後、荷物を置いて、万全の体調でアタックしたいところ。
ちなみに、このルート、今年の24時間テレビでイモトさんが義足少女と登ったルートでもあります。
※山頂までのピストン(山頂まで登り、同じルートで下山する)です
核心部:「槍の穂先」
槍の穂先は鎖場と梯子の連続です。御覧の通り、危険を伴う箇所なので初心者の方は経験者の方に同行してもらうべきでしょう。落石の危険性は常にあるのでヘルメット着用をお忘れなく。
見どころ:「特徴的な槍ヶ岳のシルエット」
見どころは、やはり北アルプスのシンボル、槍ヶ岳のこのシルエット!多くの登山者が憧れる理由がここにあります。
見どころ:山頂からの360°の大パノラマ
そして山頂には360°の大パノラマが広がっています。
見どころ:山岳リゾート地「上高地」
「河童橋」で有名な山岳リゾート地「上高地」。山の上とは別世界のリゾート地が広がっています。ここからスタートし、戻ってくるルートになっているため、ゴール後にゆっくり疲れを癒すことができます。
【関連サイト】
両神山(八丁峠ルート)
埼玉県 山のグレーディングなし
標高:1723m
ルート参考ページ:両神山 - 連なる岩峰を鎖で越えるハードな岩稜縦走 - ヤマケイオンライン / 山と溪谷社
古賀志山のほかに、北アルプスに行く前に関東圏の岩場の練習場として使っていたのが、百名山の一つ両神山の八丁峠ルート。とにかく鎖鎖鎖鎖…鎖場のオンパレード。量・質ともに最高の岩場・鎖場体験ができるのがこのルートです。北アルプスと比較しても難易度はそん色なく、行き止まりだと思ったら目の前の垂直な岩を登るのが正規ルート…というシーンが何度も出てきます。岩場・鎖場が好きな人には是非ともオススメしたいルートです。
※山頂までのピストンです
見どころ:30箇所近くある鎖場のオンパレード
こういうのが好きな人にはたまらないコースです。
もはや登山道というより壁です。岩場に慣れていないとかなり苦労します。
危険な場所ですが、ただの鎖場では物足りなくなった人にはおすすめのコースです。
しかし、至る所で、『この鎖場で「滑落事故」が発生』の注意書きを見かけます。滑落者が埼玉県最多のコースとのことで、体力・技量に自信のある人向けです。
戸隠山
信州 山のグレーディング3D
標高:1904m
ルート参考URL:登山ルート: 縦 戸隠山(奥社駐車場・戸隠キャンプ場) [信州 山のグレーディング] - ヤマレコ
超細いナイフリッジ(ナイフの刃先のように細くとがった場所)の道を歩く度胸試し「蟻の塔渡り」で有名なルートです。その他にも、鎖場が連続し、切れ落ちた崖沿いを歩いていくことになる危険度の高い山になります。
※時計周りに周回します
核心部:「蟻の塔渡り」
戸隠山名物「蟻の塔渡り」。このコースはここを超える度胸が試されます。尚、左の方はスパッと切れ落ちた断崖絶壁になっており、こちらに滑落すると間違いなく助からないでしょう。
ゴール側からの写真です。先に行くほど細くなっていき、最後は足が乗るかどうかという細さになります。まるで、カイジの鉄骨渡りですw
【関連サイト】
ドローンで戸隠山の蟻の塔渡りを空撮している動画。どれだけ細いナイフリッジかわかると思います。
見どころ:圧巻の岩山
ド迫力の岩山そのものがこの山の魅力です。 ここは「五十間長屋」という場所で、名前の通り、長屋の軒先のような岩の下を潜り抜けていきます。
鎖場も多いです。右側の写真は蟻の塔渡直前にある「胸突岩」。かなりの傾斜で核心部の一つといえるでしょう。
蟻の塔渡、山頂を越えた後の登山道はそれほど険しくないのですが、崖沿いを歩くので注意が必要です。
見どころ:戸隠神社境内の杉並木
戸隠神社境内を抜けて登山道に入るのですが、戸隠神社の樹齢400年を超える杉の巨木群には驚かされます。
危険すぎるルート:西岳
蟻の塔渡りを渡ったところにあるこの分岐の標識。「上級者向け」の注意書きに思わず「今まで登ってきた戸隠山は上級者向けじゃないんかい!」とツッコミを入れたくなります。
しかし、実はこの「西岳」は国内屈指の難関ルート。あまりに危険すぎるのでグレーディングには入ってこないルートの一つなのです。迷い込まないように注意が必要です。
裏妙義(丁須の頭)
群馬県の山のグレーディング3D ※群馬最難関
標高:丁須の頭 1057m
ルート参考:丁須ノ頭 - 奇峰・奇岩の眺め抜群。展望の山 - ヤマケイオンライン / 山と溪谷社
急峻な岩のシルエットで有名な妙義山。一般ルート(自然探勝路(中間道))はヤマノススメにも登場する、中級者向けコース。しかし、この「裏妙義」と呼ばれるルートは完全な上級者向けルート。岩登りに要求される技術も北アルプスのそれよりも上だと感じました。
北アルプスはスタンス(足を乗せるスペース)が十分にある大きな岩をよじ登っていくのですが、裏妙義では、岩のわずかなでっぱりにつま先の指の部分だけ乗せて登ることになります。自然の岩場でボルタリングをするような感覚で楽しめます。
※紹介するルートは半時計周りです。
見どころ:沢沿いの岩石群
スタートから丁須の頭までは沢沿いに転がっている大きな岩を乗り越えていくようなルートになります。それぞれの岩がまるでボルタリングの課題のようで、登っていてとても面白いです。また、沢のせせらぎに癒されるルートでもあります。
見どころ:「丁須の頭」※危険すぎるため登るのはオススメできません
裏妙義の象徴とも言える「丁須の頭」。このハンマー型の巨大な岩は一見の価値あり。
左が丁須の頭正面からの写真です。この岩にも鎖が付いていて、登ることができます、一応。垂直を通り越してオーバーハングしており、クライミングの心得と鎖につかまっていられる腕力が無いと安全には登れません。今まで登った中で断トツで難しい鎖場でした。
流石に、鎖に両手でぶら下がっただけの状態になったときには、登山で初めて、命の危険を感じました。どうしても登りたい場合、岩の根元の部分の降り方に注意が必要です。
【関連サイト】
ドローンで丁須の頭を空撮した動画。撮影者の方があまりにもあっさり登るので、簡単に見えちゃいますけど、全くそんなことはありません。
核心部:チムニー内の鎖場20m
丁須の頭をこえて少し歩いたところにある裏妙技の核心部。わずかなでっぱりと鎖を頼りにチムニー(元は煙突を意味し、人が一人入れる程度の割れ目がある岩場)を20m下降します。なんせ、少しでも足を滑らせたら、20m下まで真っ逆さま。無事ではいられないでしょう。このコースで一番神経を使う場所です。
見どころ:崖沿いの足場
梯子と金網で作ってある足場がとても怖いです。
…が、進んでいくとそれすらも無くなっていて思わず笑ってしまいました。流石、群馬最難関といったところですね。
妙義山の近くのには「峠の釜めし」で有名なおぎのやの本店と横川店(ドライブイン横川)があります。是非とも立ち寄って食べてみてください。
あと、妙義山といえば頭文字Dの中里さん率いるナイトキッズのホームコース!また、「碓氷峠」もすぐの場所にあります。…しかし、夜遅くになってきていたので走り屋に煽られるのが怖くてスルーしましたw
中里さんの名言。妙義、マジ危険。
【関連リンク】
【3分峠】妙義山 Myogi-san ~お、俺のだってRだし!~ - YouTube
【3分峠】碓氷峠 Usui-touge ~いろは坂の3倍のコーナー密度と釜めしを味わえます~ - YouTube
頭文字Dの聖地巡礼峠道解説動画です。完全に登山と関係ない情報ですがw
危険すぎるルート:「表妙義縦走」
妙義山にはさらに難易度の高い「表妙義縦走」というコースがあります。こちらも、西岳同様に危険過ぎるため群馬県の山のグレーディングにリストアップされていません。妙義山のゴツゴツとした岩山を縦走していくという命知らずのルートで、こちらも国内屈指の難易度です。
穂高岳(奥穂高・前穂高)
信州 山のグレーディング 該当ルート無し(8~9D相当?)
標高:奥穂高岳 3190m(日本第3位)、前穂高岳 3090m(日本第11位)
ルート参考ページ:下記二つのルートをつないだものになります。
登山ルート: 奥穂高岳(上高地)<涸沢> [信州 山のグレーディング] - ヤマレコ
登山ルート: 前穂高岳(上高地)<重太郎新道> [信州 山のグレーディング] - ヤマレコ
槍ヶ岳とともに、北アルプスのシンボルになっている、穂高連峰。その最高峰になるのが、日本第3位の標高を誇る奥穂高岳。その奥穂高岳に上高地から涸沢経由で登り、その後、前穂高岳経て上高地に下山するというルートです。
奥穂高岳から前穂高岳に至る「吊り尾根」や前穂高岳山頂へのルートはかなり危険で、今年も滑落事故が発生しております。多くの事故は下りで起きているため、今回紹介するルートと逆のルートのほうが安全かもしれません。
※紹介するルートは反時計回りです
見どころ:「涸沢カール」
このルートは涸沢で一泊してから登るのがオススメ! きれいなカール(氷河によってスプーンでえぐられたような形状になった地形)が見えるんですけど...残念ながら御覧の天気でした。涸沢カールは紅葉が有名で、ピークになるとテント泊客が殺到します。
涸沢では売店・飲食店も充実していてラーメンやおでんなんかも食べれます。槍・穂高エリアは全般的に山小屋のサービスがとても充実していますね。
見どころ:「ザイテングラード」
涸沢の山小屋を過ぎると、岩がゴロゴロ転がっている地帯に入ってきて、いよいよという雰囲気が出てきます。
そして、「ザイテングラード」からは積み重なった岩をどんどん登っていくことになり、岩山の導入という感があります。その後に出てくる、岩場鎖場に比べたら傾斜も少なく、登るのも比較的容易です。しかしながら、今年も滑落事故が起こったそうで、気を引き締めていきたいところ。
ザイテングラードで雷鳥がお出迎え。標高の高い場所にしかいない珍しい鳥です。
ちなみに、ザイテングラードとはドイツ語で「支稜線」…大きな尾根から派生した尾根という意味だそうです。
核心部:奥穂高岳山頂への道のり
穂高山荘から奥穂高岳に至る道。ここの取りつきが結構危険でした。
矢印が描かれているところを歩いていくわけなんですが、登山道というより、もはや岩が積み重なってるだけです。ルートファインディングの能力も問われます。
山頂に到着。ここまでで、キツいと感じるのなら、そのまま来たルートを引き返すのが賢明です。これからが本当の核心部…なのですから。
核心部:「吊り尾根」
奥穂高岳を越えると、このような大迫力の尾根道を歩いていくことになります。このゴツゴツした感じが、まさに穂高岳!
上のほうに〇印がありますが、そこから降りてきました。吊り尾根ではこのような鎖なしで降りる場所もあります。
何やってんだこの人?…って感じに見えますが、この部分、雨に濡れるとつるつる滑る一枚岩で、まるで滑り台。滑るとそのまま谷底(左側)に落て即死。なので必死なんです。
核心部:「前穂高岳」
下山ルートの途中にある「貴美子平」からのピストンで前穂高岳山頂を目指します。「前」穂高岳などという名前なので、前座、あるいは腕試し的なところだと思ってましたが、大間違い。かなり危険な箇所がいくつかあり、安易な気持ちで登ったことを後悔しました。
もう、登山「道」と言えるのか怪しいレベルです。
危険すぎるルート:「ジャンダルム」
奥穂高岳からは山のグレーディング上の最難関区間「西穂高岳~奥穂高岳(6E)」がつながっており、さらにそこには「ジャンダルム」というドーム状の岩山が存在しております。
ジャンダルムは多くの登山者がクライミングのルートを除けば国内最難関にあげる、正真正銘のヤバいルートです。遠くから見るだけで、その山容に圧倒されます。
【関連リンク】
そういえば、FF12でジャンダルムとかザイテングラードという武器あるらしいですね。登山好きの開発者が名付けたのは間違いないでしょうw
剱岳(別山尾根ルート)
富山県 山のグレーディングなし
標高:2999m
剱岳は槍ヶ岳と双璧をなす、登山者あこがれの山で、百名山最難関と言われています。一瞬の気のゆるみが文字通り「命取り」になる箇所が随所にあり、長時間の緊張を強いられる過酷な登山道を登ることになります。
見どころ:「カニのタテバイ」
剱岳登りルートの難関。両神山を登るスキルがあれば、技術的には問題ないと思いますが、ここに辿り着くまでに体力を消耗していて、さらに標高3000m近いので空気が薄くキツイです。
横から見るとこの斜度。やはり半端ないです。
核心部:「カニのヨコバイ」
剱岳下りルートの難関。名前の通り、カニのように横ばいで移動しますが、もし滑り落ちたりしたら、そのまま谷底に真っ逆さま。まず助からない、非常に危険な場所です。足場も他の場所に比べて心もとなく、かなり恐怖を覚える場所でした。
ヤマノススメでも、あおいちゃんが雑誌に紹介されていたカニのヨコバイに恐怖するシーンがありました。高所恐怖症のあおいちゃんにはちょっと厳しいですね…(^^;)
見どころ:その他次から次への立ちはだかる「落ちたら死ぬ」スポット
「おいおい、ここを通るんかい!」と思わずツッコミを入れたくなる場所が続出。
チャレンジ精神を掻き立てられ、登頂したときは大きな達成感を感じると思います。感動して泣き出している方もいました。
一年中溶けずに残る氷河もあり、そちらからのルートは、夏であっても雪山の装備(アイゼン、ピッケル等)が必要です。簡単に人を寄せ付けない、「岩と雪の殿堂」の名にふさわしい山容です。
大キレット(来年こそは…)
今年は槍ヶ岳~奥穂高岳をつなぐルート上にある「大キレット」を通過することを目標にしていました。しかし、雨が降っていて、やむなく断念してしまったのが心残りでした。掲載した写真のほどんとがガスってますが、思えば今年は天候に恵まれなかったです…。岩が雨で濡れると、滑って難易度2割増しですね。
大キレット
ヤマノススメ16話で楓さんがあおいちゃんに見せていた写真のルートが大キレットです。グレーディングは5Eで、今回紹介したルートよりさらに上の難易度になります。
【関連リンク】
登山ルート: 周 大キレット(上高地)<北穂→槍> [信州 山のグレーディング] - ヤマレコ
事故多発!!国内難関ルート、大キレット/南岳小屋~穂高岳山荘 - YouTube
楓さんこんなところを単独で行くんだから凄い。私も今年一年経験を積んだので、来年は大キレット行きたいですね。
山岳事故には注意!
山岳事故をまとめているサイトです。戸隠山、前穂高岳、妙義山…今回紹介した山の名前がいくつも出てきます。それだけ、危険な山ということですので、くれぐれも自分の力量にあった計画をお願いいたします。(私も...ですが。)
それではよいお年を!